強制執行には送達証明書と執行文付与が必要

数年後に養育費が支払われなくなるのを防ぐために、公正証書を作ったとしても、それだけでは、すぐに強制執行手続きがとれるわけではありません。

離婚後に夫からの養育費の振込が滞ってしまった時に、実際に強制執行を申し立てるのは、地方裁判所(夫の給料を差し押さえる場合は、夫の住所地を管轄する地方裁判所)に強制執行を申し立てる事になります。

その際に、どうしても必要な手続きが送達執行文の付与です。

  • 送達
    債務者(お金を払う者)に公正証書の内容を知る機会を与えるために、送達という手続きが必要になります。
  • 執行文の付与
    公正証書によって強制執行手続きを申し立てるには、公正証書正本に執行文が付与されていなければなりません。執行文とは、「この公正証書によって強制執行できますよ。」ということを証明するものです。
    執行文は、公正証書正本の余白に記載されるか、その旨を記載した別紙を添付する形で付与されます。

    執行文の付与にかかる費用 1,700円

    ※執行文の付与の手続きには、公正証書正本、戸籍謄本、住民票(当事者の住所が変更している場合)、運転免許証と認印(運転免許証をお持ちでない方は、印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)と実印)等が必要です。事前に公証役場に確認しましょう。申立書は公証役場に備え付けてあります。

上記の手続きを、公正証書の原本が保存してある公証役場にて行います。

送達には2つの方法があります

公正証書を作成する場合には、それと同時に、送達の手続きをすることをオススメしております。
強制執行の必要が出た場合にするという事もありますが、時間がたつと、債務者が公正証書記載の住所から転居してしまう可能性もありますし、受取りを拒否されるというケースも考えられます。その場合、送達手続きを行うのに、手間や時間がかかります。
ですから、作成と同時に送達の手続きも済ませましょう。オススメは、夫婦二人で公証役場に行く事です。
手続き的にも、その場で終了でき簡単です。

公証人による交付送達

公証人による交付送達とは、公正証書作成のために債務者本人が公証役場に出頭したときに限り、公証人が債権者の面前で債務者に謄本を手渡しすることで、送達手続きを終えたものとする事です。その際に債権者に送達証明書が交付されます。

離婚公正証書を作成する際に、債務者本人が公証役場に来た際は、公正証書の作成とあわせて交付送達の手続きをしておきましょう。

交付送達にかかる費用 1,650円

特別送達(郵便による送達)

公正証書の作成の際、債務者が公証役場に出頭せずに、代理人による手続きを行った場合などに、特別送達手続きが行われます。

公証役場から公証人名で債務者宛に公正証書謄本を郵送してもらうことにより、送達手続きを行う事を特別送達といいます。
この郵便を債務者が受け取った所で送達手続きがされた事になり、送達証明書が発行できるのです。

強制執行手続きには、送達証明書が必要になりますが、公証役場でこの特別送達を行わなければ送達証明書は発行されません。
郵便局からの通知(確かに届けたよ)が公証人役場に届き次第、送達証明書を発行できます。公証役場から送達証明書の発行の連絡がきたら、債権者(お金を受け取る者)は公証役場に証明書を受取りに行く必要があります。ですから、債務者が代理人をたてると、公正証書作成時と送達証明書の受け取りと計2回、公証役場に行かなければなりません。

特別送達にかかる費用 1,650円+謄本代+送料
※特別送達の手続には、公正証書正本、戸籍謄本、住民票(当事者の住所が変更している場合)、運転免許証と認印(運転免許証をお持ちでない方は、印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)と実印)等が必要です。

離婚公正証書の作成には、債務者本人が公証役場に行く事をオススメします。当日に公示送達を済ませば、手渡しで送達しますので郵便代もかからず、送達証明書はその場でもらえますが、代理人をたてて、特別送達になると、郵送代もかかりますし、債権者は後日送達証明書の受け取りに、もう一度公証役場に行かなければなりません。

したがって、公正証書を作成する際は、できるだけ(可能であれば)、代理人手続きを行わず、当事者双方が公証役場に出向き、当事者双方が署名・押印のうえ公正証書を作成し、その場で、債務者に謄本を手渡し、交付送達手続きを終了させておくことが望ましいです。