夫婦間合意契約書

夫が浮気をしてしまった。

ここではご主人が浮気をしてしまった場合で述べていきますが、逆の場合は立場を入れ替えてお読み下さい。

とても耐え難い事実だけど、子供の事、これからの生活の事、色々悩んだ挙句、今回は離婚しないという決断をした。
でも、目をつぶるのは、これが最後。懲りずに、またこんな事があったら、今度は許せない、離婚して慰謝料もきっちり請求するつもり。

夫に、「今後浮気は、絶対にしない。」ということ、もし違反した場合のペナルティも明言化して、今後の抑止力となるようにしたい。
やり直すことにはしたけれど、裏切られたという事で信じきれない部分もあるし、色々決めて書面に残し、不安を軽減したい。

夫婦間合意契約書

そのような場合、このような方法で不安を軽減化できる可能性があります。
それは、夫婦間の関係修復のための合意契約書(夫婦間合意契約書)を作成する事です。

作成のメリットは、

  • 誓約の意思を明確にすることができる。
  • 妻に誠意を示すことができる。
  • 妻に安心感を与えることができる。
  • 合意内容に違反したときは、その後離婚となった時に証拠資料とする事が出来る。

夫婦間の契約の有効性

(民法754条)
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

夫婦間の契約は、どちらからでも取り消せるという民法の条文をみると、じゃあ契約書なんて作っても、意味がないんじゃない?という疑問があります。

ただし、これは夫婦関係が実質的に破たんしているか、破綻に瀕しているときに結ばれた契約は、例外的に取消できないと判例で示されています。

最高裁判例 昭和42年2月2日
婚姻が実質的に破綻している場合には、それが形式的に継続しているとしても本条の規定によって夫婦間の契約を取り消すことはできない。

上記のような判例を踏まえて、現在では婚姻が破綻してからの取消しはできないと解釈されています。
第1次離婚の危機に陥っていた時に結んだ契約で、その合意内容である、浮気をしないという条文に違反して、夫が再び浮気をした場合、その発覚により第2次離婚の危機状態で、夫婦関係が修復できないような状態になっていた場合、夫はこの契約を取り消すことが出来ないと思われます。

また、契約書に夫の不貞の事実を記載し、署名・押印があれば、それは不貞行為があったことの証拠となります。
離婚裁判になった場合は証拠として利用できますし、慰謝料を請求するにしても、有利に進めることが可能となります。

夫婦間合意契約書の作成は、無駄にはならないと言えるでしょう。